症例はミニチュアダックスフンド12才。飼い主さんは当院のホームページを見て、遠くから来院してくださいました。来院時、ふらつくものの歩行可能、両後肢不全麻痺の状態でした(グレードII/V)。犬種および症状からは椎間板ヘルニアが強く疑われましたが、起立可能であったため、まずは保存療法(内科治療)を実施しました。しかし、治療により痛みは良化したものの、ふらつきは改善しないため、MRI検査を実施しました
MRI検査にて、第13胸椎-第1腰椎間(T13-L1)に椎間板ヘルニアが確認されました。横断像で、脊髄右側の黒い物質はすべて椎間板物質で、脊髄はひどく圧迫されています。これほど重度の圧迫がある場合には内科治療への反応はあまり良くないことが多く、この子も実際治りが悪かったため、すぐさま手術を実施しました。病変部位と圧迫物の方向から、今回は背側からのアプローチによる片側椎弓切除術(Hemilaminectomy)を実施しました
手術後2日でふらつきが改善しはじめ、その後も順調に回復しました。このように起立歩行が可能であっても(通常は手術適応外)、内科治療への反応が悪く、画像上の圧迫が重度であった場合に外科手術が奏功することはよく経験します。今ではふらつきもなくなり、スタスタ歩いています!